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細胞移動プロジェクト Cell Migration Project

 大脳皮質を構成する神経細胞は、脳室面近く(脳室帯及び脳室下帯)で産生され、最終的に配置されるべき場所へと長い距離を移動していくのが大きな特徴である。大脳皮質神経細胞のうち興奮性神経細胞(シナプスによって繋がった相手の神経細胞を興奮させる細胞)は、背側終脳(外套)の脳室面近くで産生され、その後法線方向に放射状に脳表面に向けて移動するのに対し、抑制性神経細胞(シナプスによって繋がった相手の神経細胞を興奮しにくくする細胞)は、腹側終脳にある基底核原基や視索前野の脳室面近くで産生され、接線方向に(脳表面に平行に)移動して大脳皮質に進入する。

 我々は、2001年に、マウス子宮内胎仔脳に電気穿孔法によって遺伝子を簡便に導入できる技術を開発して報告した(Tabata and Nakajima. Neuroscience, 2001; より詳細なプロトコールはTabata and Nakajima. Develop. Growth Differ., 2008等を参照)。この手法は、時期や部位特異的に簡便に遺伝子導入することが可能なため短期間に世界中に普及し、現在では脳発生の研究の多くで不可欠な標準的手法となった。

 当研究室では、この技術を使って大脳皮質発生過程の移動細胞の動態を可視化し、興奮性神経細胞の多極性移動multipolar migration(Tabata and Nakajima. J. Neurosci., 2003)、抑制性神経細胞のcaudal migratory stream (CMS)(Yozu, et al. J. Neurosci., 2005)、two-step migration(Kanatani, et al. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 2015)、海馬錐体細胞のclimbing mode(Kitazawa, et al. J. Neurosci., 2014)などの複数の新しい移動様式を発見し命名した。また、それら興奮性神経細胞や抑制性神経細胞の発生期脳における挙動を制御する機構を種々明らかにした(Kanatani, et al. J. Neurosci., 2008; Tanaka, et al. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 2011; Sekine, et al. J. Neurosci., 2011; Tomita, et al. Hum. Mol. Genet., 2011; Yoshinaga, et al. J. Neurosci., 2012; Sekine, et al. Neuron, 2012; Kohno, et al. J. Neurosci., 2015; Kanatani, et al. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 2015; Honda and Kazunori Nakajima. Cereb. Cortex, 2016; Hirota, et al. Cereb. Cortex, in press他)。

 

1) 海馬の神経細胞はロッククラミングのようにジグザグ移動する

    —大脳新皮質と海馬の神経細胞移動様式の違いー

 

2) 抑制性神経細胞の新しい移動経路の発見と移動先を選択する機構

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